コートの外の世界で
興味を持てるものは、
なにもない。
C r a n e - 折 り 鶴 -
俺は今日もコートの中。
音の絶えないこの場所で、
ボールを高くあげ、
ラケットを振り下ろし、
相手のコートに打ち付ける。
パコーーーーーーーーーン
常ににぎやかなコート周辺。
いつか、この中心に立つ。
そう決めた中1の春。
コートの外の世界で
興味を持てるものは、
なにもない。
そう思った中1の春。
*****
「時間だ!」
「「「「ハイッ!」」」」
いつか、この中心に立つ。
そう決めた中1の春。
今、この中心に立っている。
トップにたどり着いた中2の夏。
此処でトップになった。
だから全国でもトップになろう。
そう思った、中2の秋。
コートの外の世界で
興味を持てるものは、
なにもない。
そう信じてやまなかった。
でも、この頃だった。
朝練が終わったコートで、
いつも、いつも、見えるもの。
俺がコートの外で、気になるもの。
「・・・・・・・・・跡部?何見とるん?」
「・・・・・・・あそこだ。」
「あそこって・・・・・旧校舎?」
「その屋上だ。」
「屋上?何があるかなんて見えるわけないやろ。」
「あーん?お前にはわかんねぇのかよ。」
「は?なにゆうとんの?」
「あそこに人いるじゃねぇか。」
「・・・・・・・・誰がおんねん。」
「んなこと知るかよ。」
「はぁ?・・・跡部、旧校舎って立ち入り禁止やで?」
「・・・・・・・・・・・」
「しかも入り口周りぐるーうっと一周、工事用フェンスに囲まれとるやろ?」
俺は黙って校舎を見続ける。
「跡部、勘違いと違う?よう考えてみぃや。はよ部室棟、行くで。」
確かに、普通に考えればあり得ないだろう。
でも、誰かがあそこにいる。
そんな気がする。
コートの外の世界で
興味を持てるものは、
なにもない。
ないはずだった。